2008年10月号 
音楽の友 63ページ
日本のオーケストラ界ににぞむ(東条碩夫)
最も経営の安定しているはずの、しかも放送局所属の
N響が、レパートリー開拓において定期公演では全くの
後ろ向きであることは、放送交響楽団としての責任を
果たしていないといわれても仕方あるまい。
デュトワ時代にはきわめて前向きだったけれど
その後は全く低調になった。
保守的な高年齢層の定期会員が大部分を占めるという
こともあるのだろうが、スタンダードな名曲路線ばかりに
安住していては、クラシック音楽の将来にかかわる問題も
生じるだろう。ブランドの力は絶大だし、楽員の技量も抜群ではあるが
演奏に心がこもっているかというと必ずしもそうではない、という
状況もある。本当の聴衆は、技術には多少及ばぬものがあっても
真摯に音楽するというオーケストラの方を、最終的には
選ぶものである。