『タルティーニ「悪魔のトリル」遺作

・・・曲それ自体の説明はこれ位にして、その逸話について語ろう。
これは、ラランドという人が書いた「フランス人のイタリア旅行」という本の中で、
作曲者本人から直接聞いた話としてのつているもので、
それをバーネーが更に引用して語り伝えられたものである。
これは1713年の頃であつた。

・・・ある夜彼は夢の中で、彼の魂を悪魔にうりつけたのである。
すると何事も彼の思うようになつた。
悪魔は彼の召使となつて、何でも彼のいうことをやつてくれた。
・・・そこで彼は自分の楽器をあたえて、
一体悪魔がどれ程美しい音を出すかを、試してみたくなつた。
ところが悪魔は、非常に美しく、しかも完全な理解をもつて、
ソナタを演奏したというのである。
・・・彼は目がさめた時、夢の中できいた音を一つ残さず書きとめようと思つたが、
それを全部なかなか思い出すことができず、非常に苦心した。
・・・夢の中できいたものは、もつともつと美しいものであつた。
「しかし」と彼はつづけて「これは私が一生のうちに書いた
一番美しいものであると考えている。」
そこで彼は、これを「悪魔のトリル」と名づけたのである。
・・・彼はそれ以来、悪魔が再び出て自分から夢の中の感動をとり去らないために、
その楽譜の手記を戸口のところにかかげて置いたという話である。』

ってことです。本当はこれよりもっと美しい音楽だったんですね。
別に適当に言ったわけではないのです。