ヨーヨー・マのバッハは「踊るバッハ」。
カザルスの「演説するバッハ」、ビルスマを元祖とする「語るバッハ」でもなければ、
マイスキーなどの「瞑想するバッハ」でもないし、ロストロの「交響的バッハ」でもない。
ただ、このバッハのフランス舞曲は同じ時間に複数のリズムが錯綜していて
よほどリズム感が良くなきゃ、つまずいて失敗するか平板に終わる。
アナリーゼをしたこともなく実演に苦労したことのない場合は、
だから簡単に聞き流せるけれども、これを真似するのはスタイルだけでも難しい。

カザルスの真似、フルニエの真似、ビルスマの真似ってのは、
雰囲気だけなら意外に簡単に再現できる。
けど、ヨーヨー・マの真似ってバッハに関しては難しい。