フルトヴェングラーのブルックナーの国内盤が初めて発売されたとき(BPOとの第9番、1964年)真っ先に取り上げ絶賛したのは他ならぬ宇野功芳であった。
『ブルックナーはその渋さのゆえに、ドイツ、オーストリア以外ではあまり親しまれていませんが、フルトヴェングラーやワルターのような名演奏で聴きますと、
大変心に訴える音楽ですし、感覚よりもむしろ心で聴くべき音楽と言えましょう』
と書いていた。ところが後年クナの演奏に接した途端、フルトヴェングラーのブルックナーを貶し始め、
『ブルックナーはクナが最高で、生々しい人間感情を導入するフルトヴェングラーはブルックナーではない」
『フルトヴェングラーのブルックナーを聴いて感動する人はブルックナーを理解していない』
『日本ではフルトヴェングラー、ワルター、クレンペラーなどがブルックナーの大家ということになっているらしいが、
僕には少なからぬ疑問がある』
などと平気で雑誌やライナーノートに書くようになった。このときから私は宇野功芳をまったく信用しなくなった。