庶民の代表であり、誰でも我が身を省みれば思い当たる節のある
愚かさと臆病さをもち、しかしパミーナと真実の愛の有り様を
語り合うことのできる純粋な心をもつパパゲーノが、
その「愚かさ」ゆえに神に愛され、最後には平凡ながら真実の幸せを掴む。

一方、身分の高さを鼻にかけて最初は大したことがなかった
へなちょこ王子のタミーノは、真実の心をもつパミーナに導かれて、
こちらも最後には愛を掴むことができた。

タミーノの愛の方が厳かな雰囲気を与えられているが、それは
あくまでもパパゲーノとの対比のため。両者が掴んだ愛は
同格に扱われている。むしろモーツァルトの共感は
「凡庸」なパパゲーノと「聖女」パミーナにあると思われる。
貴族の代表タミーノはあくまでも引き立て役だろう。