この競演後の二人の態度は対照的だった。
クレメンティはとても機嫌が良く、「私はこれまで、あんなに魂のこもった
優美な演奏を聴いたことがない」とモーツァルトに賛辞を贈り、一方、
こんな時誰が相手でも見下すことしかしなかった自信家のモーツァルトは、
完全に余裕を失くしていたという。
そして父宛に「クレメンティは、素晴らしいチェンバロ弾きですが、
単なるいかさま師で、趣味や感情のひとかけらも持っていない、
単なる機械的演奏家です」と手紙を書いた。

このムキになっているとも思えるモーツァルトの感情は、
後に作曲される『歌劇・魔笛』の中にその影響を見せる。
『魔笛』の序曲の主題が、あの日クレメンティが弾いた『ピアノ・ソナタ Op.47-2』
の冒頭の主題に酷似しているのだ。
モーツァルトは明らかにクレメンティのテーマを模倣している。

クレメンティとの競演は、モーツァルトのプライドを傷つけた。
モーツァルトがクレメンティを嫌った理由は2つある。
ひとつはクレメンティの演奏が華やかで、あたかも
自分よりピアノのテクニックがあるのではないかと思えること。
そしてもうひとつは、ロマン派のショウマンシップに溢れたクレメンティの
演奏スタイルが、モーツァルトには耐えられなかったのである。

↑は某サイトからの引用。モーツァルトって清水和音タイプ?