長くなって悪いが・・

コジ・ファン・トゥッテは四大オペラの中で一番難解だと思う。
ブッファだけどその実、女も男も心は不変ではあり得ないという
ことをいっている。そして自分の心がそういうものであることに
気づいて、そういう自分をごまかせなくなって真正面から向き合う
ことになってしまった人間のもがきというか苦悩が歌われている。

最後にカップルが元々の組み合わせに納まるというのも、たとえ
新しい組み合わせになったところで、今見てきたように、それも
明日にはどうなっているかわからないということを、4人の若者たち
が受け入れてしまったからだろう。最近見かける、新しい組み合わせ
のカップルになって終わりという演出では、この悲しみは出てこない。

さらに厄介なのが、最後の最後に出てくるtuttiの歌詞の解釈だろう。
「いつも理性を保ち物事のいい面を見ることができる人は幸せだ。
そのような人はそうでない人が悲しむような出来事に出会っても
笑い話で済ませることができて、人生の荒波の中で平和な心を
持ち続けることができる。」
最近になってようやくわかってきたのだが、要するに、人間というのは
上で書いたとおりの存在なんだから、その中で愛を持続させるためには
感情的にならず、相手の言動を常に好意的に受け止めるという日頃の
「思いやり」こそが必要だということなのではなかろうか。
ここでは大袈裟な愛は語られておらず、思いやりの積み重ねこそが
愛であるということをいってるように思う。実際、これこそ
夫婦愛そのものであることは確かだろう。

そういう意味で、極めて寓話的というか象徴性の高い作品だが、
私はコジは非常に良くできた作品だと最近になって思うようになった。