前述の Nina Stemme のシュトラウス・アルバムを買って聞いてみました。
彼女のイゾルデは好きです。そしてサロメの最終場面はものすごくよかったんですが、
それ以外「Capriccio」と「Vier Letzte Lieder」は、残念ながらあまりよくないですね。

まずシュトラウスの上記2曲を歌うのには彼女の声の色とパレットがあまりにも制限されすぎている。
たとえば、カプリッチョで最初の「Morgen mittag um elf」での歌い口と、
ソネットに入ったところの歌い口が全く一緒です。
他の歌手の演奏をでは、ソネットのほうの歌い口をモノローグ部分と明らかにかえています。
ソネットを夢見るように、すこし線を細く自分自身の心に問いかけながら耳を澄ますように不安そうに歌うわけです。
そうする事でこのソネットの部分が他の部分から吹き上がって突出するわけです。
彼女のおかれた立場がくっきりと浮かび上がるわけです。

4つの最後の歌でも、不満はいっぱいありますが、
やはり第1曲を歌ううたい口と第3、4曲が一緒というのも気になります。
そのほかちょっとした部分の処理の仕方の無神経さが気にかかります。
一例を挙げると、第4曲の47小節目の schwirren, bald の -wirren の巻き舌の r を強調したこと。
ここの小節では音があがって下がってまた同じ音に戻り、しかも bald のほうが次の小節にまでかかっているのだから、
とうぜん一番自然な強弱強でフレーズを作らないといけないのに、
音を飲み込まずあまりにも r を強調したために、この演奏ではそうではない。
ここで一瞬ですが音楽が不自然に停滞するわけです。

思ったのですが、初演を何もしらずに歌わされたフラグスタート以外で、舞台上のイゾルデ歌い(ドラマティシュソプラーン)
がこの曲を歌った例はあまりないのではないでしょうか? 
普通、ユーゲントリッシャードラマティシュソプラーン役を歌うような歌手のほうが
この繊細な曲の細部まで歌い尽くすことができるのではないかと思います。

でも、サロメは本当にいい演奏です。これだけで買ってよかったと思っています。