俺は2001年に(21世紀になってから)フルトヴェングラーに
はまった、新参者のフルヴェン・ファン。
 この6年で、すっかり音質のストライクゾーンが広くなった、と
いうか、悪い(?)音質に慣らされてしまった。
 1929年にBPOとSP録音したメンデルスゾーンの「フィンガル
の洞窟」は、DG盤で聞いていた。しかし、規則的な間隔でプチッ、
プチッ、と聞こえてくる周回ノイズが気になり、楽しめなかった。
 そこへ、OPUS蔵からSP起しの「ロマン派音楽集」が出たので、
買って聴いてみた。そのときは「こんなドシャブリの雨の中で音が
鳴っているようなもの、聴けるか!」と思い、CDラックの一番隅に
放り込んでおいた。
 ところが、それからフルヴェンのあれやこれやのCDを聴き続け
て何年かが過ぎ、訳あって蔵盤をもう一度聴くことになった。
 ビックリした。スクラッチノイズの向こうから、なんと深く、広く、
豊かな音楽が聞こえてくることか! こんなにたおやかな「フィン
ガル」の演奏があったのか!
 フルヴェンの生演奏を聴いた老人の証言によると、彼の演奏は
「柔らかい肌触りの音だった」というが、これがその「柔らかさ」な
のか、と、完全に認識を新たにさせられた。

 LP時代からフルヴェンを聴いている人は、こんなことはないの
だろうが、俺みたいな新参者のフルヴェン・ファンのみんな、音質
に不満で放り出してある昔買ったCD、もう一度聴きなおしてみる
ことをお勧めする。