バッハの曲には、『数の象徴』とか、ある言葉に対して決まった音型を使うとか、
グレゴリオ聖歌の定旋律を使うとか、その他数々の曲だけ聴いてもわからないよう
な所謂『隠し味』的なものが多くある。
特に『マタイ受難曲』には、随所にちりばめてある。またバッハ手書きのオリジナ
ル譜では、聖書の言葉は赤字で歌詞が書かれているし、例えば「真にこの人は神の子
であった」の箇所は、楽譜全体が十字架を俯瞰するように書かれ、その上通奏低音は
14個の譜になっている(14はBACHのアルファベッドを、A=1・B=2と置き換えて
足し算した数)。つまりこの告白の言葉にはバッハ自身も加わっており、自分の罪に
よってキリストは十字架についたという『信仰告白』を表している。
これはほんの一例だが、こうした事を知るとバッハの音楽の奥深さを感じる。