悲惨な指揮真似事故〜「乗ったら振るな」の決意新たに

 東京都の有鶴爾貴守さん(仮名、39歳)は、4年前、東名高速で運転中、事故により
妻と2人の子供を失った。原因は、有鶴さんが運転中にかけていたワーグナーのCDに
気を取られ、指揮真似を始めたことによる、カーブでのハンドル操作ミスだった。車は
横転、大破して炎上。爾貴守さんは横転の弾みで開いた運転席のドアから脱出したが、
3人の命は帰らぬ人となった。
 その後、業務上過失致死罪で2年間服役。刑務所の房では二度と振るまいと誓った。
普段から音楽を聴くと自然と表紙を取り始めていた有鶴さんのその決意がためされたのは、
刑務所の慰問演奏会でベートーヴェンの弦楽四重奏曲が演奏されたときだった。久しぶりの
付点リズム。手が震え、我慢をすると動機が高まる。しかし、毎日のように決意を聞いてくれた
看守長の六糊さんと目が合うと、禁を破るわけにはいかなかった。
 今、出所し、職にも就いた有鶴さんは、一度は全て捨てたクラシックのCDを再び集め始めている。
しかし、それらを聴くとき、右腕は自ら椅子に縛り付けている。失った家族を忘れぬためにも。