富岡鉄斎という日本画家をご存知だろうか。日本画家では雪舟と双璧をなす
偉い人である。

晩年、老いてますます新たな境地を切り開くこの老画家にルノアールの絵を
見せたところ、即座に「この絵描きはイケル」と言ったそうである。

鉄斎は、印象派に関する知識はまなるでなく、ルノアールの名前さえ知らな
かった。

美を解するとはこういうことである。美を解する感性とはそういうものであ
る。知識や研究は、我々凡人にとって助けにはなるだろうが、本質ではない。