参考までにこんな事例があります。
18世紀後期から19世紀初期にかけて英仏の文学・絵画上流行したものの1つに、
オシアンがあります。オシアンとは古代ケルトの叙情詩人で、半ば伝説的
な謎の多い人。1765年にスコットランドの若い詩人が「オシアン作」と
称して創作を加えた詩を発表し、これが大流行。しばしば絵画化もされた
し、オペラも作曲された。
でも、これだけ人気が出ても、人々はオシアンの真作なんてろくに知らない
(というより残ってないから知りようがないというべきか)わけです。
これだけ受けたのは、彼の作品の素晴らしさというより、
古代ケルトの神秘的詩人、という存在自体がロマン派好みだからとも
言える。

モツの場合も、
「社会に受入れられず、夭折した天才」という人間像自体がまさに
ロマン派の理想とする芸術家像。モツはタイムリーな時代に適度な年齢と
窮乏ぶりで死に、ロマン派(的嗜好)によって神格化された、という面
が少なからずあると思われる。モツ好きにはロマン派を軽蔑する人も
いるようだけど、ロマン派がなければここまで有名にはならなかったかも。