最近この板のスレでバロック・古典期の音律が盛んに話題になってるね。
フランスの博物学者にして小説家・作曲家でもあるアントワーヌ・ファーヴル・ドリヴェ
(1768-1825)なんかは、ピタゴラスの原理つまり数学的原理から音楽を説明しよう
とした人の1人だが、音律に関してピタゴラス主義者なのだろうか?

この時期、ル・シュウール(1760-1837)が西洋近代調性に依拠しない
‘古代趣味の’オペラを作曲(1804)したりと、古代志向が顕著なのは、
やはり当時の建築・美術界を席巻した新古典主義の趣味の表れ
でもあるんだろうね。ニューグローヴ見ると、サルティ(1729-1802)も
ロシア宮廷時代に作曲したオペラ「オレーグ公の初期の統治」(1790)で
古代ギリシア音楽の復興を試みたらしい。

古代ギリシア趣味は18世紀後期~19世紀初期のフランス宮廷が本場だが、
この時期には同時に、英国で起こったゴシック建築・美術の復興に代表される
中世趣味の影響が音楽にも出てくるね。ゲルベルトの「中世教会音楽理論大成」が
1784年に刊行されているのもその流れかもしれない。
中世趣味はしばしばロマン派と結び付けられて論じられるけど、
実際には新古典主義の時代の真っ最中に同時並行的に発生展開してるんだよね。
古代エジプト趣味やインド趣味も同様。
音楽理論家・作曲家のダールベルク(1760-1812。フンメルの弟子の
ピアニスト・作曲家とは全くの別人)が、ジョーンズによる「インドの旋法」
を独語訳して発表したのが1799年。ベートーヴェンなんかは、この分野にも
かなり関心が高かったらしいね。