ジャンスク・カヒッゼ トビリシ交響楽団 (HD INF33)
“これは本当にあのカヒッゼの演奏でしょうか?”
ハチャトリャンの「ガイーヌ」の極めつけの名盤で知られるカヒッゼは、
1936年トビリシ生まれ。なんとムラヴィンスキー同様、
ソ連邦人民芸術家の称号を持つ大指揮者です。
それだけにこのチャイ5も大きな期待を持って聴きましたが、
結果はあまりにも残念なものでした。
カヒッゼの指示の不徹底と、オケの力量不足が前面に出てしまい、
全ての表情が中途半端で確信に欠け、
異様に多い残響と定位がアンバランスな録音のせいもあって、
音像のニュアンスがしっかりと伝わらないのです。
特に第2楽章のカンタービレや、第3楽章の弦の質感などが
あまりにも雑然とし過ぎていて、安心して身を委ねることができません。
また、オケの人数が少ないのか、根源的な音のパワー不足も終始付きまといます。
ただ、こうしたオケ側のハンディは、指揮者の表現力でカヴァーでき、
逆に技術偏重型の演奏では望めない意欲的な演奏も実際に存在するわけですから、
これはもうカヒッゼの采配不足と言われても仕方ないでしょう。
一方、カップリングの「イタリア奇想曲」はこれよりも明確な表現意思を感じさせ、
巨匠風な味わいさえ感じさせますが、これまた残念なことに、
後半で同じフレーズが通常より一回多く繰り返されている
という奇怪な現象が起きてしまっています。
録音データの記載が一切ないのは廉価盤では珍しくありませんが、
録音方法にも演奏にも、
もう少し自信と誇りを持って欲しいと願わずにはいられません。