>>まとめサイト管理人氏
まとめサイトにトリスタンのカラヤンBPO盤のレビューがないようなので、
あくまでも個人的な印象ではありますが、少し書いておきますね。

オズボーンの書いたカラヤンの伝記によると、録音当時、イゾルデ役の
デルネシュが体調を崩していて、喉の調子があまり良くなかったことと、
カラヤンが作品にあまりに没頭していて、録音のイニシアティブを完全に
握ってしまったため、プロデューサーだったグロッツらは録音にとても
苦労した旨の記述がありました(グロッツがこの録音の最中にカラヤンを
怒らせてしまったいきさつもかいてありました)。
オズボーンも、この録音の音楽の流れをあまり高く評価していません。

私自身の印象としては、ドラマティックにうねりながら破滅的な幕切れへと
流れていく振幅の大きな音楽の求心力に、この作品の魅力を強く感じ
させてもらいました。
デルネシュは芯の強さと女性らしさを感じさせる立派な歌唱だと感じて
いて、個人的には本調子ではなかったとは思えませんでした。
トリスタン役のヴィッカースは個性的で賛否両論ありそうですが、ドラマへの
没入度は凄まじいものがあり、心を打たれました。
ブランゲーネ役のルートヴィヒとクルヴェナール役のベリーは、それぞれ
安定感のある見事な歌唱でハマり役と言ってもいいのではないでしょうか。
カラヤンとBPOの音楽への没入は確かに凄まじく、強い魅力と聴き応えが
あります。
演奏傾向としては、カルロス・クライバー盤とバーンスタイン盤の、ちょうど
中間点にあるように感じています(よりリリックに進めばクライバー、テンポを
落とし、より濃密に進めばバーンスタイン、という感じ)。
録音の感じはかつてのEMIらしい、細部の音の分離よりはホールの雰囲気を
大切にしたような、渋めで落ち着いた音の印象ですが、低域の厚みもあって、
個人的には印象は悪くありません。
デジタル初期の乾いた音よりは、ずっと良い印象です。