山根みたいに自ら信ずるところの美学に則って批評するのは学問的にも人間的にも
彼の誠実さの現われで、それでこそ信頼に足る批評子というものだ。読む側も山根がどういう立場に立って
批評しているのかを理解して読むぐらいのものを求められてよいし、それでこそ面白い。
山根に比べりゃ吉田なんて時流に敏感な大した変節漢で『主題と変奏』のロマン主義的批評から
二十世紀音楽研究所時代のブーレーズみたく前衛しかみとめないという時代を経て、
それを若気の至りの昔話として語る今まで、全く一貫した読みは不可能。