「モーツァルト好きのベートーヴェン嫌い」(音楽評論家の石井宏など)
や、「モーツァルト好きのワーグナー嫌い」(古い人だが、文芸評論家の
小林秀雄など)は、どういうわけかブラームスについては、氷のような沈
黙を守っている。
 きっと心の中では「俺はブラームスの良さがわからん。俺はダメな音楽
愛好家なんだ。くっそー!」と思ってるんだろうな。
 ベートーヴェンは「本質のみを語れ。」という言葉を残した。指揮者のア
ンセルメは、「現代の音楽家は、音楽的対象と感覚的対象を混同してい
る。」と言った。

 本質ならざる偶有性のみに目を向け、音楽的対象ならざる感覚的対象
に目を奪われているくせに一人前の音楽愛好家ヅラをした小林や石井の
悔し泣きをよそに、我々は「本質のみを語」り、「音楽的対象」のみを追求
したブラームスの音楽を、これからも大きな喜びと共に享受しよう!