今言ったのは、いわゆる一般人へのクラシック浸透策です。
コアなファンに対してはまったく違うアプローチが必要です。
なぜなら、コアなファンはやさしいクラシックみたいな語りかけでのみ
世間で熱が上昇することをとても嫌うからです。同時にマニア好みの
販売促進計画が行われることが必要だと思います。
私の手元に1989年のレコ芸がありますが、当時ジリ貧だった
RCAの将来展望・秘策が記されています。
当時のRCAは過去の名盤(ホロヴィッツ、オーマンディ等)で
食いつなぐのが精一杯で、新進アーティストを売り出せばことごとく
失敗している状況でした。
しかし、その後の立て直しでヴァント、東京カルテット、アーノンクール、
キーシンらを獲得して、他社が低迷した90年台に輝かしい遺産を残しました。
アーティストの実力も凄いのですが、基本的に批評家から叩かれにくい、
堅実なアーティストを見出し、ファンの要望に応える形で商品を発表していった
メーカーの戦略の勝利だと思うのです。
今日でも、スクロヴァ、デュトワ、テイト、ガルネリ四重奏団、ベーアなど、
魅力的な割に売り出しきっていないアーティストがたくさんいます。
こうした人たちを長期的展望で地道に売り出していく。
そして録音の現場では、職人的なスタッフとアーティストが意地をぶつけ合って
完成度の高い作品を作り出していく。それが望ましいと思うのです。

アシュケナージ N狂のモーツァルト後期ピアノ協奏曲集、
スクロヴァ指揮ゲヴァントハウス管の
小澤&サイトウキネンによるフランス音楽、特にメシアン大全、
内田光子 東京カルテットのピアノと室内楽のための名曲集など、
日本発の素晴らしい企画を立ててほしいものです。