最高の演奏家の演奏は、誰のでもマイクに入りにくいものだと思うけれど・・・

'凄い'というのとは全然ニュアンスが異なるかもしれないけど、録音に入りきらないということで
具体的に思い浮かぶのは、カントロフの弱音。音の粒子が空中に浮遊するような、ふわっとした独特の音。
普通のノンヴィブラートがかった音ともちょっと違うような気がする。
あの音はツボを得た席で聴くとステージの奥のほうとか天井のほうからも出ているような気さえするゆえに、
そういった不思議な空気感と音の浮遊感、遍在感のニュアンスが、録音には入りきらない。

うまく表現できなくてもどかしいので、あの音を技術的にどう形容するものなのか、わかる方教えてください。
(弱音ではないけど、去年の王子ホールでベト8番の緩徐楽章を弾いてくれたタイプの音です。)
あの音が大好きなので、人一倍あの音に敏感なのかもしれないけれど。

ギトリスの去年のリサイタル(横須賀)でも似たような種類の録音に入りきらない音が聴けました。
他にもあの種の音が弱音で自在に操れる演奏家がいたら知りたい。

カントロフは、あの音の他にも、最高域のすすり鳴くような極細ヴィブラートの音や、
十八番の中低域ジプシー風テイストの太い音や、かすれるようなハスキーな弱音だとか etc..本当に多彩!
もちろん、音にも増して好きなのは、きわめて音楽的に的を得ている作品解釈とその表現技術なのですが、
こちらのほうは録音でも楽しめてます。