http://homepage1.nifty.com/classicalcd/cdreviews/2006-1/2006041501.htm
 最初の「鏡」の「蛾」では,軽く明瞭なタッチで,明るく上品に作品を描き
出しており,「悲しき鳥」では,クリヤーで淡々と刻まれるリズムの上で,明
快で反応良いフレーズを聴かせ,「海原の小舟」では,押さえの利いた絶妙な
波の表現と,海原の上で波に翻弄される様を粒立ちの良いタッチで鮮やかに描
き出しており,「道化師の朝の歌」では,軽やかでシャープで明瞭なリズムの
刻みや,中間部でのクリヤーなソノリティの美しさと,作品にふさわしい情熱
性を聴かせ,「鏡の谷」では,ややもすると和音が重なっていくだけで単調演
奏になりかねないこの作品を,明瞭かつデリケート響きと,微妙で多彩な表情
をもって演奏しています。
 続いて収録されている「クープランの墓」では,「前奏曲」はやや小粒な印
象ではあるものの,クリヤーで絶妙なフレージングが見事ですし,「フーガ」
も単調にならず,明瞭なソノリティとフレーズの微妙な変化の伴った有機的な
味わいを聴かせ,「フォルラーヌ」では,淡々としたさりげない演奏のようで
いて,1つ1つの音に生き生きとした息吹が感じられ,「リゴドン」では,一
転してリズミカルで軽快でフットワークが良くて,さらには絶妙にエキゾチッ
クな表現も見事ですし・「メヌエット」での,抑制の効いたノーブルな味わい
の演奏を聴くと,この曲がいかに品格のある名品であるかを再認識させられる
思いですし,「トッカータ」では,軽く飛び跳ねる快調なリズム感に加えて,
メロディは明るく表情豊かで,さらに後半は積極性が力強く和音を刻む積極性
があって大変充実した演奏としてまとめ上げられていました。

 ラヴェル自身もアンリエット・フォールの演奏を高く評価していて,CDジャ
ケットにも,ラヴェルの署名の入った「我が完全無欠の演奏家,アンリエット・
フォール "A ma charmante et parfaite interprete Huriette Faure"」という
エクリチュールが印刷されているのですが,ラヴェル自身のイメージしていた
自作の演奏はこういうものなのか,といった感懐すら抱いてしまいました。