同じエロイカを聴いて、「第二楽章で一段階づつ(ママ)音量を弱くしてゆくときの
セルの指揮ぶりは、あらかじめリハーサルで打合せた通りの強弱を、寸分の
狂いもなく指示するような頗る機械的なもので、ぼくの心はすっかり白け、セルの
演奏家としての限界を感じないわけにはゆかなかった。」と書いた批評家としての
ぼくの鑑識力は、小石のそれなどとは比較にならぬ高みに達していたといえよう。