最初はあどけない幼児として寝顔が描かれているのですが、やがて目を覚ましてよちよちと歩きだし、明るい家庭を演出してくれます。

そして注目は後半の部分で、そうした幼い子供の姿を眺めているうちに、やがて大きくなった頃の様子を思い描くような場面に変わります

一番上のホルン(1、2番)と上から6段目の第1Vnが同じ旋律を重ねている。その上段のティンパニ(Pk)と一番下の2段(チェロ=Vc、コントラバス=kb)だけが、よく見ると3小節目の二重線から8分の3拍子になっている。

例えば映画なんかだったら、こういうところも簡単にできると思うのですが、ここではあえて音楽だけで挑戦しているところがおもしろいのでしょう。

上の譜表では、先ほどオーボエ・ダモーレが吹いていた旋律を拡大しています。それまでの室内楽的なアンサンブルが突如として大オーケストラに変身し、わが子のたくましい青年像を期待をこめて描ききっている名場面です。

そして再び音楽は室内楽風になり、現在の幼児の姿に戻ります。そこにはなぜかおじいさんやお婆さんも登場し、「どこが誰に似ているか」という議論までしています。

そんな感じで登場人物の紹介も終わり、次の注目としてはお父さんの書斎の場面です。お父さんの仕事は作曲家なので、ここでも「英雄の生涯」と同じくリヒャルトの仕事風景が描かれています。

ここでは中盤で最初の、そしてかなり盛大に盛り上がるクライマックスがやってきます。