「私がお風呂のお湯を入れるから、お父さん一番にお風呂入ってね。」
台本棒読みのような喋り方で娘が言う。最近はいろいろと家事を覚え、自分からすすんで
手伝いをするようになった。感心してる。
「たまにはお父さんと入ろうか。」「イヤだ!!いつもイヤだって言ってるじゃんか!」
笑顔で「うん、入ろ!」と答えてくれるワケが無いことはわかっている。冗談のつもりで
聞いてみたのだが、間髪入れず拒否の返事をされた。聞かないほうが良かっな、と後悔した。

「お父さんがまた一緒にお風呂入ろう、って言ってきた。」
「あの人はドスケベだからしょうがないの。」
娘とデカパイが台所で俺の悪口を言い合って盛り上がってる。デカパイのヤツ、娘の前で
俺のことを「あの人」なんて、まるで他人のように言ってやがらぁ。
「お母さんとお風呂入ろうか。」「うん!」
お互いライバル意識で激しく牽制し合ってると思えば、俺と敵対すると結託する。女って
いうのはポリシーの無い生き物だよな。イヤだねぇ。

俺の下着を脱衣所へ持っていったデカパイがキンキン声で何か騒いでる。娘が呼ばれた。
「火が点いてるのをちゃんと確認したか!! お前、ガス漏れしたら爆発するんだよ!」
「点いてたよ。」
「点いてないでしょ。どこ見てたのさ。」
危なそうな会話なので行ってみると、水の出し方が少なくてガスが停まってしまったらしい。
今の湯沸し器は水量が少ないとガスが停まるから爆発はしないけど、昔の風呂釜と同じ
仕組みと思ってるデカパイは青ざめた顔をしてる。
「爆発したらみんな吹っ飛ぶんだよ?」だって。まぁそうだろうな。

湯を入れ直して、俺が入ろうとしたらデカパイがついてくる。
「一緒に入ろ。」 娘と一緒に入るつもりだったが、腹が立ったから俺と入るんだってさ。
イヤな女だなぁ、と思ってたら風呂で奉仕、奉仕、奉仕。おぉ、けっこうイイ女じゃんか。

Tさん、男もポリシーが無い生き物だなぁ、って反省してます。