「駄目」と言うのは正しくない、と思う。
余計なお世話だが、「駄目」なのは貴女の気持ち以前の問題として、郁子が
「駄目」なのである。つまり、郁子自身が一つだけ間違いを犯したと言うことなのだ。
それは、決して見られないほどの不美人と言うわけではなく、どちらかと言えば
まあ、許せると言うレヴェルにあるにも拘わらず、クラのヴァイオリン弾きを目ざして
しまったことにあるのである。ここでも度々指摘されている通り、素直に不向きな音楽家
などにならずに、あっちの方向へ進めばよかったのである。
そうすれば、誰も文句は言わなかったはずであり、顰蹙を買うこともなかったのだ。
しかし・・・実は郁子は高島ほど莫迦ではないから、全て計算の上で演じていると言う考えも成立してしまうのである。
(後略)