VPOのベト全は60年代にイッセルシュテット、70年代前半に
ベーム、70年代後半にバーンスタイン、80年代にアバド、
90年代にラトルと、全部で5種類ある。
その中で、レコードレーベルもしくは指揮者からではなく、
オーケストラのほうから全集録音を持ちかけたことで実現した
録音は、実はアバド盤しかない。

アバド盤録音時点で、ほんの15年も前からわずか5年前の10年間で
ベーム、バーンスタインとビックアーティスト2人で間隔も開けずに
VPOとベト全を収録していたDGも、さすがにその話には困ったと思う。
しかし、VPOからのたっての希望を聞き入れ、収録に踏み切ったことで
今となってはかけがえの無い素晴らしい演奏が記録として残った。
演奏にはタイミングというものも大きな要素になると感じているが、
最高のタイミングで記録された素晴らしいベートーヴェンだと、個人的には
そう感じている。