「ねぇ、アッバードが良いって思うの間違ってると思う?」緑がそう訊ねた。
鼠はビールを一口飲み、ゆっくりと首を振った。
「はっきり言ってね、みんな間違ってるのさ。」
「何故そう思うの?」
「耳が腐っているのさ」鼠はそう言った。
「私は来日公演はほとんど聴いているわ。オペラもマーラーも
ベートーヴェンも聴いた。ヴォツェックもボリスも聴いたわ。
どれこもれも素晴らしかった。感激して死ぬかと思ったわ。
ガンを克服してるのよ。それなのに匿名で叩くなんて」 
緑はそう言うと軽く笑って、憂鬱そうに目の縁を押さえた。
「小澤も気の毒だよね」鼠は緑に言った。
「それどういう意味?」
「2ちゃねらが認めないんだとさ」