しかし、私は、ショパンの芸術が、あんまり見事で、人工の限りをつくしていることに、
どうしても、なじみにくいものを感じ続けてきた。
・・・ショパンを、ベートーヴェンより深刻なものとうけとったり、シューマンより
すぐれた芸術家とみることは、私にはどうしてもできない。つくられた作品と
しては、ショパンのバラードやスケルツォの方が、シューマンの「謝肉祭」より完全なもの
にちがいなかろうが、しかし、私はショパンのヘ短調の幻想曲よりシューマンのハ長調の
幻想曲の中にはるかに豊かな精神のほとばしりを見ないではいられないのである。
ショパンは精神の問題を避けて、芸術をつくりすぎた。