読了。

・交響曲第5番発表をめぐる経緯について

「これは、もちろん、ショスタコーヴィチの意図的な恭順の身振りなのであろう。
だが、ショスタコーヴィチの職人芸をもってすれば、もっと楽に、もっと安全な作品を
書けたに違いない。しかし、ショスタコーヴィチが選んだのは、
権力と芸術との危うい駆け引きだった。」(p.78)

まず、この一文は印象に残った。

この人、ショスタコーヴィチ作品のもつ両義性を、二重言語性として高く評価してる。
その点で第5交響曲が試金石であり、その成功ゆえに、綱渡りの創作へ人生の舵を切った、と。
だから、体制的作品として書かれたものでも、作品にコノテートされたものを
仔細に見ないといかんということで、作品を単純に「体制」「反体制」で性格づけして
選り分けるのはあほらし、という立場だと思う。

その代わり、そうした意味づけに失敗したり、その余地すらなかった作品
−交響曲第12番とか「森の歌」−は、作曲者本人の評価を踏まえることを
通り道にして失敗作と位置づけている。これも比較的明快に書かれている。

どうでもいいけど読んでる人どれくらいいるんだ?