もちろん当時の管楽器奏者は、複数の楽器をかなりのレベルで
演奏できたと思ってますよ。ただブラヴェが曲をつくるとき、
リコーダーとかオーボエとかが意識にのぼったかどうかは、もちろん
可能性は否定できないものの、曲の内容からはあまりそう感じられま
せんし、ブラヴェに関する記述にも、ステージで糸を巻いただの、左に
構えただの、犬が喜んだの、はあっても、トラヴェルソ以外を吹いた
というのは無いですし。特に重要なのは、コンセール・スピリチュエル
での演奏で、名人ブラヴェが得意のフルートを吹いてさえ、演奏の効果と
しては、「ヴァイオリンに負けない」といういわれ方をされてる点ですね。

つまり、耳の肥えたというか他にいくらでも楽しみのある聴衆を、飽きさせ
ないだけの演奏効果をあげるには、一番得意な楽器とそれにあわせた曲が必要
であったということ。
一方自分で演奏して楽しむという行為は、それとは全く違うもので、一般的な
ディレッタントがプロの芸人(演奏家)のような、技量(演奏効果をあげるための)
を持たなかったのは当然のことなのだから、無理してトラヴェルソを吹くより、
扱い易い分リコーダーの方が楽しみが多く得られたのでしょう。

例えは悪いかもしれませんが、280馬力の国産車をの能力をフルにひきだして、
運転できるアマチュアドライバーが、限界よりちょっと落とせばすごく楽しく
ドライブできるのに、F1の車に乗ったらまっすぐに走るのさえ難しいと感じる
だろうということ。