朝比奈のグールドの思い出の好きな部分でしゅ。

長大な、時には冗長であるとさえ言われる第1楽章が、カデンツァをも含めて、
張りつめた絹糸のように、しかし羽毛のように軽やかに走る。フォルテも強く
は響かない。しかし弱奏も強奏も、ことにこの楽章に多い左右の16分音符の走
句が、完全に形の揃った真珠の糸が無限に手繰られるように、繊細に、明瞭に、
しかも微妙なニュアンスの変化をもって走り、流れた。それは時間の静止した
一瞬のようでもあった。