>では、グールドの演奏にどう影響しているんだろうか?

面白い問いですね。考えた事も無かった。

コンサート活動リタイアを宣言する際の理論的(後出しの言い訳?)として
同郷マクリーハンを十分利用したとは思っていたが、演奏そのものとなるとね…

マクルーハンのトライブとしての中規模の新共同体は興味惹いただろうが、
録音メディアの未来なんて論述もあった位だから独自に(取り分け珍奇でもなし)
自身の録音演奏の聴かれ方を熟慮していたのは間違いない。
注目される近接マイク録音の多用の理由は、録音音楽が聴かれる状況の多様さに対応する際
スピーカー自体が発音楽器(の如きもの)と設定すればあらゆる聴取状況に対し無駄なく
音源情報伝達キャパが保たれる。
もともと近接録音はグールドの狙う音の構造を呈示するには最適だったが、
録音演奏家に徹する際にマクルーハンの電子メディアの未来に範を託して
更にこの方向で(音色等の表面では無く構造と相対音圧の重視で)演る事に没頭できた
可能性はあるかも知れない。
ピアノの音色なんてイコライザーやスピーカーで如何様にでも変化させられる事は
オーディオ・フィデリテー常稿者だったグールドは百も承知だったんだろうから
自身の演奏の意図を音価と構造表現に委ねる事が、この方針で叶ったと謂う訳けかな。