たとえばカラヤン/ベルリンが血のしたたるようなビーフステーキの味わいだとすると、
小澤/SKOのそれは京の懐石料理みたいなものだ。前者からするとまるで味わいがないように感じるが、
実はよくよく味わってみると微妙なニュアンスに富んでいることがわかる。
まことに日本人的な演奏といえよう。
ここにはベートーベンと作品を通じて斬り結ぶと言った切迫した表情はない代わりに、
作品をあるがままに配置し、それを見て楽しむ。竜安寺石庭などの枯山水を鑑賞するのとおなじ
精神的高みを要求されるものだと言えよう。