音楽−新日フィル定期演奏会(朝日新聞2006年1月12日)

「意欲・創意表す重厚な選曲」

 ベルギー・モネ劇場の音楽監督を務める大野和士が、2年ぶりに新日本フィルハーモニー交響楽団
の定期に客演した。松の内でもハードな作品を期待するファンに照準を合わせ、新春気分を吹き飛
ばす。今年生誕百年のショスタコーヴィチと、没後10年の武満徹に捧げられた江村哲二の新作を組
み合わせた重厚なプログラム(6日、東京のすみだトリフォニーホール)。

 核に据えたのは、演奏の機会が極端に少ないショスタコーヴィチの交響曲第4番。プログラムを差
別化し、指揮者の意欲と創意を示した点で的確な選曲だった。演奏に1時間を要し。打楽器9人にホ
ルン8人を含む総勢110人の大編成は、マーラーの規格はずれの交響曲に一脈通じるが、歌劇「ムツ
ェンスク郡のマクベス夫人」を思わせる俗っぽさと不気味さ、悲劇性が混交した音楽ははるかに生
硬。いたるところ、亀裂だらけだ。