伸行のことを多くの皆さんに知るようになっていただいたきっかけは、
何といっても九十九年五月に放送された「ニュースステーション」内での特集の影響力が大きいと思います。
(中略)
けれど私たちは当初、一切取材はお断りしていました。
伸行が「障害者だから」ということで取り上げられることは避けたいと思っていたのです。
そうでなくて、「音楽」を前面に出していただけるならご協力させていただきたいと
思っていたのですが、なかなかそういう企画がありませんでした。
「ニュースステーション」の取材スタッフの方ともそのことは何度も話し合い、
恐る恐る出演させていただくことになりました。
(中略)
「音楽家の卵」である伸行と「障害者」である伸行。
音楽を語る時は「障害者だから」と言う言われ方は好みませんが、
伸行の演奏活動を通して「障害者」への理解が進むならば、どんどん貢献していきたい。
それが私たち親子の望みでもあります。

〜今日の風、なに色? 辻井いつ子著〜