「今の私がとらえる、人生の意味を投影した3曲です」
 ヴァイオリニスト庄司紗矢香が年末に向けた全国公演で演奏するのは
シューマン、ショスタコーヴィチ、R・シュトラウス。いずれもバイオリン・ソナタだ。
 シューマンのソナタを「ドイツ語の詩がそのままおさまるような、
美しい歌曲の調べ」と表現する。ショスタコーヴィチを弾くときは、
作曲された時代の、ソ連の暗い世相をイメージ。
「ショスタコーヴィチが死の恐怖を醸しているのと対照的に、
 R・シュトラウスはヒロイックな冒険心、生命への肯定感をあおる。
 両極端でありながら、両者は表裏一体です」
 パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少の優勝を果たして6年。
飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍ぶりと見受けられるが、
「つらいことはいろいろありました。何がつらかったかは、
口に出して言うべきことではないから、言いません。」
マイナスをプラスに変える力は音楽、本、親しい友人が与えてくれたという。
 人がクラシックを求める理由は、個々の人生経験から生まれる、と感じている。
「大きな悲しみ。癒しがたい孤独。そこにある強い感情は、
 救済を求めてクラシックの世界へとたどり着くのではないでしょうか。
 音楽の作り手として、懸命に生き、その結果、胸の内から出た、
 まがい物でない私なりの真実を奏でていきたい」
 1983年東京生まれ。今夏からパリ在住、世界各地で演奏活動を行っている。