リヒターの「クリスマス・オラトリオ」の1955年頃TELDECに録音したCD(モノラル)は、
テンポも遅めで、合唱の質も後のミュンヘンバッハ合唱団に比べると格段の差があるうに感じる。1958年の「マタイ」までの3年間にすごい進歩があるが、この3年間
に何が起きたのだろう。そして1965年の「クリスマス・オラトリオ」ではテンポも締ま
り、目の覚めるような演奏を展開している。
1969年のあの伝説的な来日演奏では、それまでの録音とは違う新たな柔軟性のあるバ
ッハ演奏をした。
リヒターは、絶えずバッハの楽譜から「霊感」みたいなものを感じ取る特異な才能があ
ったと言えるのではないかと思う。