<遺体好き>

ブルックナーの伝記を詳細に読むと、彼は結構科学が好きなように見えてきます。
ヴィントハーク(宮沢賢治のイーハトーヴになぜか語感が似ているのが嬉しい)助教時代、
生徒たちにキリスト教では禁じられていた地球が丸いことを教えていたことからも証明されます。
また、後年も酒の席での話題にも科学的なものを好んだと言われています。

彼の芸術の中にも示されていますが、彼の最大の関心事は「死」とはどういうものかという疑問だったのです。
それを、具体的に見るために「死体」を見るということを熱望したのです。

ベートーヴェンやシューベルトのような偉大な才能が、作品ではなく、現実のものとしてどのようになっているかを
知りたいという欲求も、あながち理解しがたいものではないと思います。

要するに、かれは頭で考えるだけの人ではなく、科学的あるいは臨床的に物事を解明したいと考えていただけです。
だから、そのことは異常でもなんでもありません。作曲家という立場でそのようなことを考えたから、世間の人は異常と見ただけです。
こういった態度は、ある意味男性的思考回路ですので、かれの音楽も女性に理解しがたいのかもしれません。