クラシックギターの欠点として昔から音量のことが、誰の口からも語られます。そのため20世紀になってからギターは大型化し、現在のようなスタイルになりました。
しかしソルやジュリアー二が活躍していた当時、ギターは現在のスタイルのものとは大きさも構造も異なるものでした。いわゆる19世紀ギターというものです。
弦長630ミリ前後で力木の配置の仕方もいたってシンプルなそのギターは、倍音の少ない非常にしまった音がします。和声が重んじられた時代の産物といえるでしょう。
現在のギターはトーレスという製作家の登場によって改良されたのですが、楽器としての原点は19世紀ギターにあると私は思っています。

いまギターを練習している皆さんは、どんな気持ちで楽器と向かっていますか。仕事で疲れて癒されたいですよね。私もそうです。ぽろぽろ弾いてもギターはとても甘美な
音で包んでくれます。楽器としてのギターの最大の欠点はおそらくその点にあるのだと私は考えます。

今のモダンギターの多くは量産されたものがほとんどです。ギターの初心者なら誰でもそうしたものを手にすると思います。そうしたギターも決して悪くはないのですが、
本当に音楽を楽しむうえでは問題点があります。大きな音をだすと倍音だらけでフレーズの輪郭がはっきりしない。それゆえもやもやと弾いて自分だけの幻想にひたり
やすい。つまり知らずしらずのうちに張りがなく、脆弱な音づくりしかできない自分になってしまうという点です。

19世紀ギターが改良されて現在のスタイルになったことは前述しましたが、いまのモダンギターでもいいものはすべて無駄な音がなく、引き締まっています。
それゆえ楽器にたいして意識的な音づくりをしなければきちんとした音が出ないのです。もやもや弾いていては楽器が歌ってくれないのです。楽器で音楽を楽しむという
ことは、本来そうした意識的な音づくりがはじめにあるべきなんですが、ギターに限ってそのことが言われません。ギターの長所でもあり最大の欠点でもあるのです。

パヴェル・シュタイドルというギターリストのCDおすすめです。それからギター演奏の欠点を直すうえで効果的なのは、遠くにいる人を仮想してその人に音を届けるような
気持ちで演奏することです。