嗅覚とは基も原始的な知覚であり、高次中枢の介在無しにストレートに
情動を揺さぶる。
いかなる甘美な記憶であっても、それが視覚・聴覚など高次の知覚のみを
介したものである限り、時間の経過と共にリアリティは失われる。
それは聴覚を介した芸術である音楽にも当てはまること。
嗅覚においては、いかに時を経ても、そのリアリティが失われることは無い。
同じ香りにより、数十年の経過は無となるのだ。
それは小賢しい人間の営みを超越した、究極の形而上的世界へと通じている。