F=ディースカウにとってヴォルフラムはとりわけ重要な役だった。
大飛躍の出発点ともなった1949年のベルリン(市立劇場、L・ルートヴィヒ)以来、
1951年のミュンヘンや1954年に始まるバイロイトなどキャリアの節目で賞賛を
浴びてきた。録音もバイロイトでの各ライブやコンヴィチュニーとのスタジオ録音など
恵まれている。豪華なキャスティングが注目を集めたDG盤は録音的にも聞きやすいし、
DFDも歌の完成度と安定感ではこの盤がもっとも聴き応えがあると言えそうだ。

キャストではテオ・アダムと何と言ってもニルソンが素晴らしい。録音ならではの
エリーザベトとヴェーヌスを一人で歌うというアイデアも、他の人なら文句を言いたく
なるところだが、これがニルソンなら許せるというか実際聴くと納得してしまう。
ニルソンを偲びつつひとつじっくり聴き直してみようか。

また一つ、20世紀が遠くなってしまった・・・。 合掌。