もうかれこれ三世代ほど以前の話だが、俺が行った中学高校(やはり進学校)の音楽
教師は、母校出身の本物のクラヲタ名物教師だった。彼は音大卒ですらなく、知識は
すべて趣味と実益を兼ねた独学。

だが授業は抜群に面白かった。驚くことに、中1から音楽の授業は鑑賞のみで、最初
ハイドン・モーツアルトから始まり、中1の冬にはベートーベンまで行った。彼個人
所有の膨大なレコード(LPの時代で、数千枚はあった)コレクションを音楽室の
副室に置いていて、それを次々に授業に使った。しかも、たしか運命と第九については
ミニスコアを買わされ、スコアを読みながら聴く練習を全員がさせられた。

一貫の高校に入ると、音楽は鑑賞と実技から選ぶことができた。実技は、さすがに
音大歌科卒の教師(やはり先輩)が担当したが、鑑賞は上記名物教師が続けて担当。
高校では、バロックと後期ロマン派を重点的に聴かされたのを覚えている。彼は
無類のヴァーグナー好きで、俺にとって少々辛かったのは、たしか高2の期末試験が、
ヴァーグナーの楽劇を隅から隅まで知っていないと解けない問題ばかりだったことだ。

彼のおかげもあってか、中高の同級生は半数以上が今も熱心なクラファンをやってる。
結果的には、彼は素晴らしい音楽教師だったのだと思う。もう80近い歳で、母校は
とっくに引退したはずだが、彼は今どうしているのだろう...