ケンプというと音楽はよいが技巧が弱いとかいうやからもいるが、
しかもケンプが技巧が弱いという比較の相手がバックハウスだったりするから困るんだが、
数あるピアノソナタの中でも至難のひとつハンマークラヴィーアソナタ、その第4楽章のフーガで
主題をくっきり浮き立たせ対位法を立体的に聞かせつつしかも柔軟に歌わせてもいる演奏を聴くと
指廻りなどという浅いところでは到底はかれない有機的なテクニックの見事さに感嘆させられる。
第3楽章の素朴のうちに自ずと精神が輝き出るような素晴らしさも言うまでもない。