ずっと昔、野村あらえびすという男がいた
彼は、「あらえびす貧乏なれどレコードだけは2万枚も持っているなり」
と謡うほどレコードが好きで、収入の殆どをレコードに注ぎ込んだ
当然、家は貧乏で妻子はいつも腹を空かせて泣いていた
やがてそんな彼も死んだ
家族は早速忌々しいレコード達を全て売りに出した
ところが、ガラクタ同然に思っていたレコードの殆どが
信じられないような高値で売れたのだ
あらえびすは何も金儲けのためにレコードを集めたわけではなかった
ただ、彼のレコードを選ぶ目が非常に優れていたため
結果的に高値でも求められるレコードが残ったのだ
家族達は信じられないような大金を前にして
彼の位牌に手を合わせ泣いたという