更に
>2 結末を決めてから書き始めなければならない

作品を書くときに、頭から考えていってはいけないということです。音楽に限らず時間
芸術というものはすべてそうで、文学でも、例えばシェイクスピアの「ハムレット」では、
最後のクライマックスがある。作家はそこが頭に浮かんだのであって、作家はそれを効果
づけるために前の方に考えていく。もちろん書くときには、はじめから書き始めますが、
時間的構築というものはそういう風にするということです。
今でも文学作品はそういう風に書かれていると思います。後年になって思うのですが、
これはチェレプニン一人の考えではなく、日本でも「古今役者論語魁」という本があり
ますが、そのなかに津打治兵衛という人が”狂言というものは、二幕の結びを固めて、
それから前後を思案するが良し”といっています。ですから、江戸時代の初期からそう
いった思考が文学なり狂言なりをまとめていく上での重要な作業であることが専門家には
わかっていた。その本の中で、例として源氏物語六十帖も最初にできたのは須磨、明石
の巻で、それから前後を埋めてあの大作を完成したのだ・・・ということをいっています。(後略)