言葉が多いだけでなく、辛辣だった。とくにモーツァルト嫌いは有名だった。「モーツァルトの作品が嫌いだというのではない。もっと否定的だ。つまり許し難いのだ」「モーツァルトは早く死にすぎたというより、死ぬのが遅すぎた」とまで書いた。
 35歳で夭折したモーツァルトになんてことを言うのかというほどの毒舌だが、グールドによれば、モーツァルトは長じるにつれ、気質のままに図に乗って二流の作曲家になってしまった。だから死ぬのが遅すぎたというのだ。
 モーツァルトを弾かないでそう言っているのではない。ピアノソナタ全曲を録音しているし、モーツァルトで好きなのは「ハ長調のフーガ」K394だけという言明もくだしている。