ヘレヴェッヘの室内オケ版(シェーンベルク/リーン編曲版)は、演奏時間そのものは
比較的短いのだが、非常にゆったりとした、静謐な時間の流れを感じさせてくれる点で
特異な優れた演奏のように思える。
 室内オケだけに、ソロ歌手は声を張り上げることなく、声量を要求されない。しかも、
ヘレヴェッヘは、例えば終楽章のオケ独奏部分は、敢えて音を途切らせ、途切らせ、演
奏することで、ゆったりとしたテンポ感を聴く者に与えることに成功している。まるで
雄弁家の講演よりも、訥々とした口ぶりの講演者の話なら、更に話に聴き入ることがで
き没入することができるように、彼は意図的に音を途切らせるフレージングによってリ
スナーの集中力を引き出すことに成功している。
 そういうフレージングを採用できるのも室内オケならでは良さだと思える。大編成の
オケなら、音が揃わないからこんな芸当など採用できるはずもない。ヘレヴェッヘ盤は、
ジュリーニ盤より1分以上短いけれども、聴き入る者には後者の方がはるかにゆったり
とした侘いと時の流れを感じ得ることができる。

Giulini DG盤                 Herreweghe HM盤
Das Trinklied vom Jammer der Erde [8分41秒]    8分05秒 
Der Einsame im Herbst [9分48秒]          9分17秒
Von der Jugend [3分21秒]              3分43秒
Von der Schonheit [7分38秒]             7分23秒
Der Trunkene im Fruhling [4分35秒]         4分39秒
Der Abschied [30分10秒]              28分54秒