今日の演奏を聴く限り、きちんとしたオーケストラを使ったオペラを日本
でもやってほしいと思います。このオーケストラには不満が一杯です。こん
な作品をやるんだったら、なおのこと。来年は「オテロ」、次は「タンホイ
ザー」と言うから、なおさらです。
オーケストラはただやかましいと感じるだけ、全く音がブレンドされずに鳴
り響いているように感じます。バランスを整えるということは、いかに有能
な指揮者でも寄せ集めオーケストラ、かつ短期間では限界があるのでは。
今回、どれだけの時間をかけたのか、私は知りませんが…
しばらく前からオークションでは素人ダフ屋(?)の投げ売りも目立ちまし
たが、チケットの法外な値段にも拘わらず客席はほほ満員でした。終演後は
熱狂的な歓声、支持者がこれだけいるんだったら、それはそれで結構なこと
です。いつも思うのですが、小澤ファンと根っからのオペラファンの層は、
重なる部分が極めて小さいような気がします。

「エレクトラ」は1987年の暮れに、同じ小澤征爾指揮の演奏会形式で聴
いたことがあります。手兵のボストン交響楽団、会場はNYのカーネギーホ
ール、タイトルロールはヒルデガルド・ベーレンスでした。
ずいぶん遠い記憶ですが、音楽としては今日の演奏と大きな違いはないよう
に思います。と言うか、ほとんど同じ。これは、皮肉じゃなく、偉大な才能
です。20年前と変わらない、進化しないと言うと語弊があるので、変化し
ないという才能!
違いは、あのときは常設のオーケストラが演奏していたということ。やや過
剰なダイナミクスなのに、それでも一定の節度の中に収まり、逸脱を感じな
かったのに、今日のオーケストラは粗さがとても耳障り。ただ、限られた時
間でやっていることでしょうから、最終日に聴けば全く違うかも。

名だたる歌劇場の音楽監督という肩書きがあるのだし、それを目一杯活用し
て、オペラのパトロンを増やし、オペラファンも増やして、小澤という名前
が消えた後も、日本で優れたオペラ公演がを続くような形で次代にバトンタ
ッチしてほしいものです。