>>332
だから temper を調律と訳すのも間違いなんだよ。
temper は、シントニックコンマまたはピタゴラスコンマ、まれにスキスマなどを
いくつかの音程(通常は完全五度)に振り分けること。そして、名詞 temperament は
temperする行為、またはtemperされた音程を含む音律のこと。音律そのものでも、
調律そのものでもない。例えば純正律やピタゴラス音律は temperment ではない。

そして、かつて日本で temperament を「平均律」と訳していたことがあった。
この「平均律(旧訳)」によると、中全音律も「ウェルテンペラメント」も「十二平均律」
も、すべて「平均律」ということになる。

これが完全に誤訳かというとそうでもなくて、例えば標準的な中全音律であればシントニック
コンマを4分割、十二平均律ならばピタゴラスコンマを12分割、それぞれ temper された
完全五度を用いるけれども、このことはコンマがいくつかの完全五度に「平均」的に
振り分けられることを意味している。

もちろん現在ではこの意味で「平均律」という言葉を使うことはなくなったが、その代わり
"temper" "temperament" の適切な訳語がなくなってしまった。