第2部の最初のソリスト、法悦の教父(バリトン)のあのメロディーは、
マーラーが書いた、最も美しく愛すべきもののひとつでしょう。
ディースカウやプライの名唱を例に出すまでもありません。
ほとんどテノールの音域かと思うほどの高音を朗々と歌われると、
誰の声で聴いても、もう涙腺ウルウルですねぇ。
そしてこの旋律が、フィナーレの「神秘の合唱」、
「この世の不条理なものは、すべて偶像にすぎない・・・」となって
静かに荘厳に再現される。
第1部では、地上から「来たれ!」と叫び、そしてこのフィナーレでは、
天上から我々に向かって「おいでなさい」と手を差し伸べる。
それまで、曲全体を支配していた基本音形「E♭ーB♭ーA♭」から、
最後の最後に、「E♭ーB♭ーC」と高らかに響き渡る。

・・・・・至福の時。